メーテルのヒロインは楠本高子
産経新聞の記事によると、「銀河鉄道999」のヒロイン、メーテルや「宇宙戦艦ヤマト」のスターシアには、実在のモデルがいたらしい。その女性の名は、「楠本高子」。日本で初の女性産科医として知られる「オランダおいね」こと楠本イネの娘で、祖父は日本に近代西洋医学を伝えたフォン・シーボルト。
松本零士さんは、小学生のとき母の実家である愛媛県大洲市に戦争のため疎開していた。15年ほど前、その時の同級生から、明治維新前後に撮影されたらしき写真を見せられる。そこに写っていたのが、メーテルやスターシアの面影を残す、切れ長の涼しい目元の女性だった。
東京都内の自宅で産経新聞の取材に応じた松本氏は、自分の作中に理想の女性としてメーテルやスターシアなど、細面で切れ長の目の女性をどうして描き続けるのか自分でもよくわからなかったと語る。しかし、その写真を一目見た瞬間に「自分が描いてきた女性と気づき、大変な衝撃を受け写真に見入ってしまった」そうだ。
祖先から受け継いだ記憶がメーテルとなって蘇った
問題の写真は、20代の高子と夫である三瀬諸淵のツーショット。三瀬は、シーボルトの弟子でイネに医学を教えた二宮敬三の甥であり、高子とは慶應2(1859)年に宇和島で祝言をあげた。
「私が描き続けてきたのはまさにこの女性だ」と、気づいて以来、折に触れて高子さんについて調べたという松本氏。自身の作品の中核となるヒロイン像と高子との不思議な“縁”について、
私の父も大洲市出身で、家に伝わる古い写真や言い伝えなどから、高子とも縁のある家だったようだ
と語り、
私が先祖から受け継いだ“記憶”が、スターシアやメーテルの姿を通して高子を描かせたのかもしれません
と、感慨深げだったという。
メーテルにモデルの女性いた! 松本零士が語る不思議な〝出会い〟/MSN産経west